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山の圧倒的な美しさに魅了されて以来、読書と映画、料理が好きなインドア派の私がハイクを楽しむようになりました。初心者、いや入門コースからですが、たくさんの山や自然に出会いたい。ハイクや日々の出来事を切り取り綴ります。

星降る上高地

お盆休みは猛暑の東京を離れ、標高1,500m北アルプスの谷間、梓川上流、長野県上高地へ。

ずっと行ってみたいと思っていた場所です。特別景勝、特別天然記念物に称される上高地は特別保護区のため美しい自然が守られています。野生の熊や鹿、猿、野鳥、小動物の森に人間がお邪魔するといった感じ。マイカー規制があるため、車は沢渡駐車場に置き、バスで30分かけて上高地に入ります。お盆休み中の混雑を見越して都内3時半に出発し、始発のバスに乗り込みます。

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上高地バスターミナルから徒歩5分、上高地の中心でもある河童橋からの眺めです。梓川の上流にそびえるのは日本第3位の最高峰、穂高連峰。清冽で穏やかな梓川の水は驚くほど透明です。風光明媚な景観は息を呑む美しさ。山から下りてくる風はひんやりと心地良く、心身が浄化されるような気持ちに。本当に美しいです。

ホテルに荷物を預け、河童橋から往復2時間かけて大正池までハイキング。原生林と湿地の中、整備された木道を進みます。鬱蒼とした森の中に少しずづ陽の光が差し込みはじめます。

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大正池。焼岳の噴火により梓川がせき止められ一夜ででき、かつての森が今も池の底に沈んでいるそうです。山頂に霧のような薄雲が緩く流れます。自然はまさに今の時間い深呼吸しているのだなと感じる澄んだ空気に充ちており深呼吸したくなるほど。静寂の中、時折響く野鳥の囀りにはっとします。幻想的な美しさにしばらく立ち去ることができませんでした。

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標高2,455m、長野県と岐阜県境にある北アルプス唯一の活火山、焼岳。朝日が山頂を照らし、その範囲を徐々に広げていきます。湖面に映り込んだ焼岳が、山からの風がつくる柔らかなさざ波に揺らめき綺麗。

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15分ほど原生林の中を歩くと、開けた湿原が見えます。田代湿原。枯れた水草などが積もり長い歳月をかけてできたとされています。

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その先には水田のような穏やかな風景の田代池。正面には霞沢岳と六百山。山からの伏流水をたたえ、冬でも凍結しないそうです。

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ウェストン・レリーフ 近代登山開拓の父、ウォルターウェストン。「日本アルプスの登山と探検」著 明治時代、日本アルプスに魅せられたその美しさを世界に広めた功労者だそうです。

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 湧き水の小川を、川藻が揺らぎます。鴨も気持ち良さそうに泳いでいました。

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神秘的な美しさの森を歩いていると時間を忘れてしまいそうになります。木々の生命力を感じ、緑のグラデーションの多彩な様に驚きます。アップダウンも少なく木道で整備されている道も多いため、のんびり写真を撮りながら散策できます。

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      梓川。この透明度!!

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    河童橋まで戻ってきました。下流には焼岳。

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午後になれば河童橋はこの賑わいです。

翌日はあいにくの雨。ホテルでポンチョと大きな傘を借りて、河童橋から明神池まで往路は起伏にとんだ原生林を歩くルート、復路は木道で整備された右岸ルート2時間のハイキングです。雨模様に憂鬱な気持ちになりましたが、一歩森に入ると神秘的な世界が広がり、多彩な美しさの森に魅せられました。明け方の森の空気は雨で潤い、むせ返る土と木の香りに包まれます。生い茂った木々の葉が受け止めた雨は柔らかになり、しずしず降りてきます。

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     苔むした風景も美しいです。

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40分ほどで明神橋に着きました。少しさきにある嘉門次小屋で一休み。マタギ小屋のような嘉門次小屋。イワナの塩焼きをいただきました。美味しい。

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ここから穂高神社奥宮への参道です。

穂高見命を御祭神に仰ぐ穂高神社は、信州中心ともいうべき安曇野市穂高にあります。
その奥宮は、北アルプス穂高岳のふもと、ここ上高地に祀られており、
嶺宮は北アルプス主峰、奥穂高岳の頂上に祀られています。
穂高見命は海神族の祖神であり、その後裔である安曇野族は、元北九州に栄え主として
海運を司どり、早くから大陸方面とも交渉を持ち文化の高い氏族であったようです。
醍醐天皇の延長5年に選定された延喜式神名帳には名神大社に列せられて古くから信濃
おける大社として朝廷の尊崇篤く殖産興業の神と崇め、信濃の国の開発に大功を樹てたとと絶えられています。(穂高神社HP引用)

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明神岳直下に佇む明神池は、明神岳の伏流水を湛え、古くは鏡池をも称され、一ノ池・二ノ池
には趣を異としながらも幽玄な雰囲気を醸し神秘的な池として多くの人が拝観されています。
古くより穂高大神が降臨されたと伝わる穂高岳。この地を「神降地」として信仰が深く、
奥宮には山の恩恵を安全が祀られる「明神の祈り」として参拝者が絶えません。(HP引用)

針葉樹林に囲まれた神秘的な明神池は美しい霊域であり、強い霊気、パワーの源といわれる

パワースポットと言われています。雨でなければ山や木々が湖面に映りこみより幻想的な風景だったかも知れません。

明神池一ノ池と二ノ池

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      梓川右岸ルートで岳岡湿原へ。

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青々とした苔やしっとり濡れた木々、キラキラ輝く雫が美しい高山植物と出会いながらの雨のハイキングは神秘的で山に抱かれているような気持になりました。山の緑は満足そうにたっぷりと雨を吸い込んでおり、ひんやりとした重たい空気も心地良く、気付けば雨の中2万歩越え!

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今回宿泊したのは河童橋袂のにある五千尺ホテル。山岳リゾート地だけあって、食事はフレンチでした。街灯がなく闇にすっぽり覆われた夜空は、星が降りそそぎ、その美しさに心が震えました。

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心を透き通らせる風景との出会い。自然を前にするとその懐に大きさに圧倒されます。ちっぽけなエゴやプライド、煩悩がすっと消え去り、余計なものがそがれて清々した気持ちになります自然とともに呼吸する、細胞までその澄んだ空気がいきわたるように深呼吸したい。しばらくはトレッキングや山歩きにはまりそうです。体力つけなくっちゃ。

ーーー上高地COLOR emerald green

お題「見たい!見せたい!パノラマ写真」